こどもの足の痛み・成長痛

お子さんにこんな症状はありませんか?

  • 夕方~夜や寝ている時、たまに足の痛みを訴える
  • 夜、痛みで泣き出してしまう程でも、翌朝にはケロっとして、元気に走り回れる

そんな症状が何度かあると、「病院へ行った方が良いのかな?」と心配になってしまいますよね。

その痛み、もしかしたら「成長痛」かもしれません。

成長痛とは?

「成長痛」は、
“成長期(幼児期、学童期、思春期)の子どもの足(下肢)の痛みの総称(呼び名)”として、広く使われています。

そのため、膝のオスグッド病や踵のシーバー病など運動をしているお子さんに多いスポーツ障害も「成長痛の一つ」として、表現されてしまうことがありますが、同じではありません。

成長痛の症状

  • 夕方~夜(寝ている間)や朝方に痛みを訴える
  • ずっと痛い訳ではなく、月1~2回、週1~2回など不定期に痛む
  • 遊んでいる時や学校、幼稚園は、痛みの訴えが少ない(痛みが数時間以内に治まる一過性)
  • 痛い部位に腫れ・圧痛(押すと痛みを感じる)・関節の運動制限など炎症症状はない
  • レントゲンを撮っても、特に異常が見当たらない
  • 両親がさすってあげる、触ってあげると痛みが消えることがある

この状態が2週間~1か月ほど続いている場合は、成長痛が考えられます。

成長痛が起こりやすい年齢

幼児期(3歳)~児童期(12歳)あたりでみられ、特に3歳~5歳あたりは、「一次成長痛」として、足の痛みが現れやすい時期とされています。
有病率は、世界的に10~20%とされ、近年オーストラリアで行われた調査では、4~6歳児の約37%に「成長痛」が認められたと報告されています。

痛む場所・痛む期間

膝が一番多いですが、ふくらはぎ、すね、足の関節、太ももなど、成長痛は主に下肢(かし:足)に痛みが現れます。
痛む場所もいつも同じではなく、その時々によって異なります。
また、痛みを感じる期間も数か月~長い場合には年単位になることもあります。

成長痛の原因

「成長痛」と呼ばれていますが、実際、骨の成長に伴って痛みが発生することは医学的にはなく、痛みの原因は今のところはっきりしていません。

しかし、成長痛の原因には、ストレスが関係していると考えられています。

大人でストレスが溜まると、頭痛や腹痛が出る人もいますよね?
それと同様に、お子さんの場合、心のストレスが“足の痛み”として現れることがあります。
ストレスというと、「自分がストレスを与えてしまっているの?」と自分を責めてしまいがちですが、そうではありません。お子様は成長の過程で、生活できるようになるうえで年齢ごとに色々なストレスを感じるのです。

ちょうど一次成長痛が多くなる3歳~5歳頃は、親御さんと一日中一緒だった乳幼児期とは異なり、自分でやらなければならないことも増え、ストレスが溜まる時期です。

  • 食事やお風呂、歯磨き
  • 遊んでいるのを辞めなければならない
  • 保育園や幼稚園の通園による団体生活
  • 友人関係

こうした日常生活を規則正しく行っていくことに慣れていないため、疲れてしまい、ストレスを感じやすくなります。

さらに、小学生(6~11歳)になれば友人関係や学校の先生との関係、習い事へのストレス、12歳以降(思春期)になると異性関係や親子関係など、子どもの成長に伴いストレスの原因も変わってきますが、同じように心のストレスが足の痛みとして現れることがあるのです。

また、幼児期・学童期は足の発達が未熟な時期でもあり、偏平足や、関節が柔らかいお子さんもいます。日中たくさん走り回って活動すると、意外と筋肉が疲労するため、夕方~夜間になると、足の痛みやだるさ、不快感が現れることも原因の一つとされています。

成長痛の対処方法

一番大事なことは、成長痛は仮病でなく、痛いものだと理解することです。また、ストレスの要因は、多くははっきりせず取り除くのが困難なため、お子様の痛みにフォーカスを当ててあげます。以下のポイントを参考にして、お子さんのストレスが軽減するような生活を送るようにするとよいでしょう。

  1. マッサージしてあげる、足をさする
  2. 湿布をはる
  3. 足をクッション、布団などで上げてあげる
  4. しっかり睡眠を取る
  5. お風呂に入って温め、痛い・不快感のある部分を優しくさする
  6. 親子のスキンシップを図る

【親子で行うストレッチ体操】

足の筋肉のストレッチ体操を行うと、成長痛が和らぐとする報告があります。

・①~④までのストレッチを左右それぞれ10~20回ずつ行います。
・ストレッチは、お子さんが痛みを感じない程度の力加減で行ってください。

成長痛の場合、緊急性のないことがほとんどですが、念のため、骨や筋肉といった組織に何らかの疾患が隠れていないか、整形外科医の中でも小児整形外科を得意とする専門医に診てもらうと、より安心ですね。

早めに病院を受診した方が良い「足の痛み」とは?

成長痛では、痛みは一時的で昼間は痛がらない、痛む場所が日によって違います。

しかし、怪我(外傷)をした記憶がないのに、下記のような痛みがある場合には、早めに整形外科を受診しましょう。

  • 腫れや熱っぽさを伴う痛み
    →バイ菌の感染、外傷、成長軟骨の損傷など
  • 足を引きずるような痛み
    →成長軟骨の損傷(骨端症)、単純性股関節炎、ペルテス病(大腿骨の股関節との付け根部分の血行障害。膝に痛みが出る)など
  • 股関節周辺の痛み全て
    →安静や精密検査を必要とする疾患が多い

いつも同じ場所が痛い、何日もずっと痛い場合には、何らかの疾患が隠れているサインです。

当院での「成長痛」による診察・治療の進め方

いしがみ整形外科クリニックでは、以下のポイントを心がけ、丁寧な診察を行っています。

1 笑顔でコミュニケーションを取ってから診察

いきなり診察はしません。お子さんに「痛かったり、怖かったりする診察はしない」と理解してもらってから、診察します。

2 痛い部位だけを診るのでなく、下肢全体を調べ、隠れた原因を探す

痛みの原因となる関節の柔らかさ・組織の成長の度合い、お子様の周辺環境なども含め診察を行い、充分なカウンセリングの上、治療に当たっていきます。

3 正確なレントゲン写真の撮影

左右対称など正確に撮れているかを確認しています。

【家庭で確認しておくと良いことは?】

診察の際に、下記のことについてお伺いします。

  • いつから?
  • 何をしている時?
  • どんな痛み?
  • 何かすると痛みがおさまるか?

お子様とご家族が安心して診察を受け、痛みの改善にむかえるよう、全力で治療して参ります。

著者
院長

いしがみ整形外科クリニック院長 石神 等

日本整形外科学会認定専門医
日本骨粗鬆症学会認定専門医

さたけ整形外科リハビリクリニック院長 佐竹 厚志

日本整形外科学会認定専門医
日本体育協会公認スポーツドクター

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