交通事故治療(むち打ち・打撲・外傷)

車やバイク・自転車の運転時はもちろん歩行時にも、予期せず誰にでも起こり得るのが「交通事故」の怖いところです。

交通事故は、受傷時にかかるエネルギーが思いのほか大きいため、目に見えるケガ以外にも精神的ストレスによって様々な症状が現れやすく、さらに症状が長引きやすい特徴があります。

交通事故直後は痛みなど症状を感じなくとも、必ず速やか(遅くとも2週間以内)に整形外科を受診するようにしましょう。

いしがみ整形外科クリニックでは、患者様の身体的・心理的な問題を真正面から受け止め、治療を致します。また、交通事故によるケガの患者様に少しでも安心して治療に専念していただけるよう、警察・保険会社とのやり取りや職場への働きかけについてのアドバイスも行っております。

どんな小さな心配事でも院長やスタッフまでお気軽にご相談ください。

交通事故によるケガの特徴

1 症状が長引く・後から出る傾向がある

交通事故によるケガは、予想外に起きたケガなので普段傷めないような部分を傷めてしまうことが多くあります。そのため症状が長引く傾向があり、個人差はありますが治るまで3~6か月かかることもあります。

さらに、交通事故のケガで多くみられる「むち打ち症」は、事故後少し経ってから症状が出ることもよくあります。

受傷した直後から適切な治療を開始しないと、後々痛みを悪化させたり、長引かせたり(慢性化)する原因となります。

2 痛みが強い

交通事故は、スピードの出る乗り物とぶつかって起こるケガのため、その衝撃はご本人が感じるよりも強くかかります。予想外に強い衝撃がかかることで骨や筋、腱、神経などが深く損傷することがあり、痛みなどの症状が強く出やすい傾向があります。

3 目に見える外傷以外の損傷や精神的ストレスもある

交通事故によるケガは、出血や骨折など目に見える外傷だけではありません。
事故当初は普通に歩けて、自覚症状がないと感じていても、外から見えない部分に大きな損傷を負っている可能性があります。

また、被害者の方にとっては「やられた」という負の感情が生まれるため、ケガによって生じる仕事・学業への悪影響や、普通の動作ができなくなる不自由さに強いストレスを感じます。ほかに、加害者と被害者の関係・自動車保険(自賠責保険や任意保険)・警察の介入・職場への連絡など、不慣れな対応も精神的ストレスの要因となります。

さらに、事故の状況によっては、ケガの程度が軽くても「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」や、うつ病・運転恐怖症・パニック障害などを発症したり、検査では明らかな異常がないのにもかかわらず、体の不調が現れる「不定愁訴(ふていしゅうそ)」がみられたりする場合もあります。

交通事故によるケガで多い疾患・症状

交通事故によるケガでは、頭部外傷や骨折といった目に見えるケガ以外にも、首や腰の痛み・動かしにくさ(可動域の制限)・筋肉の張り(コリ)・頭痛手足の痺れ・だるさ・めまい・耳鳴り・吐き気・脱力感・消化器系の機能低下・食欲不振など、症状が全身に及ぶことがあります。

また、交通事故の原因ワースト1は昔から「追突・衝突事故」であり、警察庁による交通事故の損傷部位別統計*1をみてみると、軽傷者の約60%は「むち打ち損傷」に該当する頚部受傷者であると報告されています。

*1(参考)令和元年中の交通事故の発生状況 P.16|警察庁

むち打ち症(頚椎捻挫・外傷性頚部症候群)

「むち打ち症」は正式な病名ではありませんが、車にヘッドレスト*2が装備されていなかった時代に追突や衝突事故に遭うと、首が鞭を打ったようにしなることに由来しています。
*2ヘッドレスト:車の座席の背もたれ上部にある枕のような部分

むち打ち症は「頚椎捻挫(けいついねんざ)」や「外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」のことであり、事故直後は痛みや不調を感じないことが多いという特徴があります。

「頚椎捻挫」とは首の捻挫のことで、首から肩の痛みが出る、首が前後左右に動かない、頭痛がする、などの症状が現れます。また、頚椎捻挫の症状に加えて、頭痛・肩こり・めまい・腕や手指のしびれ・睡眠障害・うつ状態など全身症状がみられる場合には「外傷性頚部症候群」と呼びます。
いずれの疾患とも、交通事故の衝撃により首の筋や腱が損傷することが直接の原因なので、レントゲン検査では骨折や脱臼などはみられません。

発生直後は湿布や消炎鎮痛薬を使用しながら、2~4週間ほど首の安静を図ります。症状が落ち着いてきたら、牽引治療・温熱療法などに加え、ストレッチや体操などのリハビリ治療を始めます。むち打ち症は必要以上に安静にし過ぎないことが早期治癒の近道となります。

整形外科と接骨院・整骨院との違い

交通事故に遭った方の中には、症状を改善させるには病院(整形外科)に行った方がいいのか、それとも接骨院・整骨院に行った方がいいのか、と迷う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、整形外科医院と接骨院・整骨院などでは、そもそも対応できることなど根本的に異なりますので、違いをご理解いただいた上で選択されるとよいでしょう。

検査・診断・治療など医療行為は、整形外科でのみ行える

整形外科では、国家資格を持った医師が医学に基づいて、医療行為(検査・処置・投薬・治療・手術・リハビリなど)を行っています。
痛みなどの症状を引き起こしている原因を詳しく検査して明らかにした上で、原因に合わせた効果的な治療を選択できます。

一方、接骨院・整骨院では国家資格の「柔道整復師」による、医学の専門的知識や技能を必要としない施術(せじゅつ)として、マッサージ・温熱・電気療法行為が行われています。これらは「医業類似行為」と呼ばれ、法律上はあくまでも健康管理の一環という位置づけなので、原則的に脱臼や骨折の患部に施術することはNGです。ただし、医師の同意がある場合に限り可能であり、健康保険が適用されることもあります。

さらに、カイロプラクティックや整体・骨盤矯正・気功などには施術者の法的資格は不要であり、治療費用はすべて自費(保険適用不可)となります。

(図)整形外科と整体・整骨院・接骨院などとの違い

「後遺症診断書」の作成は、整形外科でのみ可能

損害賠償請求など交通事故による後遺症の認定の際に必要となる「後遺障害診断書(正式名:自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書)」の作成ができるのは、医師だけです。

整形外科よりも先に接骨院・整骨院へ通院するなどして、事故後、時間が経ってから整形外科を受診した場合には、ケガと事故との因果関係の証明が難しくなることがあります。

事故直後に自覚症状がない、あるいは軽いケガだとしても、交通事故のときはできるだけ早く、最初に整形外科を受診するようにしましょう。

当院の「交通事故治療」の特徴

交通事故治療の実績多数

不幸にも交通事故に遭われたら、警察や保険会社への対応・事務手続きなどやらなければ事も多く、慣れないことに戸惑い・ストレスを感じる方も多いことでしょう。

当院では、交通事故治療の患者様を月60件ほど診察しているので、保険会社や警察への対応、事務手続きなど医師・スタッフ共にスムーズに対応可能です。
患者様は安心して治療に専念していただけますので、お気軽にご相談ください。

総合的な治療で「痛みの悪循環」を断ち切る

交通事故では事故の衝撃で脊椎(背骨)や骨盤の歪みが起こることも少なくありません。その上、痛みから逃れるために取る姿勢や筋肉への過度な緊張によって、さらに姿勢が悪化して痛みが強くなる「痛みの悪循環」に陥りやすくなります。

当院では早期回復を目指すために、痛み止めの内服や外用薬などを使用して痛みを速やかに抑え、痛みが軽くなってきたらマッサージ・ストレッチ・牽引(けんいん)療法・電気療法などのリハビリテーションを開始するなど、患者様の状態に合わせた総合的な治療を行います。

また、患者様の早期回復をサポートするため、「姿勢矯正」や「鍼治療」も当院でお受けいただけます。
姿勢矯正は、鏡を見ながら歪んだ姿勢を修正して過剰に強張った筋肉を和らげることで、「痛みの悪循環」を断ち切る効果が期待できます。
鍼治療は、慢性化した痛みやコリに効果的です。痛みやコリのある部分に鍼を刺して一度組織を壊すことで、元に戻そうとする「自然治癒力」を利用し、痛みやコリの改善を図ります。チクっと感じる程度の痛みなので、未成年の方でも保護者の承諾があれば治療可能です。
※肝炎など血液感染の可能性がある疾患をお持ちの方は、お受けいただけない場合があります。

医師と連携して行うリハビリテーションや鍼治療

当院には、理学療法士・柔道整復師・鍼灸師が在籍しておりますので、患者様の状態にあった治療を選択することが可能です。

いずれの治療も医師が定期的に様子を確認しながら行いますので、安心してお受けいただけます。

交通事故治療の流れ

(図)事故に遭った際のフローチャート

交通事故に遭ったときにすべき事

  1. その場で警察に交通事故の届け出をする
    保険金の請求などで必要となる「交通事故証明書」の交付に必要です。
  2. 加害者の身元情報を確認する
    身元情報:事故相手の氏名・住所・連絡先(業務中の事故であれば会社の連絡先も)・車のナンバー・自賠責保険(共済)や自動車保険の会社名・証明書番号など。
    目撃者の証言は、万が一相手方とトラブルになった際の重要な証拠となるので、目撃者がいたら、連絡先も聞いておくとよいでしょう。
  3. 現場の記録
    事故からしばらく経つと、記憶が薄れたりショックで状況を思い出せなかったりすることがあるので、現場や相手の車などをメモしたりカメラで残したりしておくと安心です。
  4. 通院の前に、ご自身および相手側の保険会社に通院することを連絡しておく
    事前連絡をしておくと、自動車保険での通院や保険金給付などがスムーズに行えます。

当院ご来院後の流れ

1 問診表の記入

受付で「交通事故治療」の旨、お知らせください。ご記入が難しい場合、スタッフまでお気軽にお声がけください。代理で記入致します。

2 詳細検査および診断

患者様の自覚症状や受傷状況などについて、医師が丁寧に問診を行います。また、触診・視診で筋肉や腱の張り・骨格・姿勢などの異常の有無を確認し、X線検査(レントゲン)・超音波検査(エコー)で詳しく調べて診断します。必要に応じてMRI・CTなどの画像診断や血液検査を行うことがあります。

3 治療開始

急性期(受傷から1週間前後)は、基本的に患部の安静を図りつつ、薬による鎮静や装具療法を行います。その後の回復期はマッサージ・電気・音波・レーザー治療などのリハビリテーション、姿勢矯正、鍼治療など、様々な治療方法の中から患者様に必要な方法を選択して効果的な治療を行います。

よくある質問

交通事故治療の費用はどのくらいかかりますか?

少しでも違和感を感じたら来てくだ交通事故での治療費は、原則的に加害者側が負担することになっているため、被害者側(患者様)の負担金なしで治療をお受けいただけます。
治療費は相手側の加入している自動車保険(自賠責保険)や任意保険でまかなわれるため、保険会社が直接医療機関へ支払いを行います。

ただし、保険会社からの事前連絡よりも先に受診されたときには、一時的に患者様の立て替え(自費)が必要となります。保険会社からの連絡確認後、自費分をご返金させていただきます。

なお、被害者側の過失が大きい場合など、相手側の保険会社に治療費の対応をしてもらえないケースもあります。さい。手遅れになる前に適切な治療を考えていきます。

健康保険で交通事故治療は行えますか?
交通事故治療でも健康保険を使うことは可能です。その際には、ご加入の健康保険組合に「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。
もし事故の相手が無保険もしくはひき逃げだった場合、どうすればよいですか?

加害者側からの自賠責保険などの補償を受けられないときは、政府が救済する保障制度「政府保障事業」が利用できます。しかし、政府の保障には法定限度額が定められていますので、限度額超過分が全額自己負担とならないよう、治療前に「健康保険での治療」とお申し出いただくと良いでしょう。

ほかにも、ご加入されている自動車保険のタイプによっては、無保険やひき逃げについても補償されることもあります。ただし、保障金の重複受取はできません。

交通事故治療には、「治療期間の区切り」があるって本当ですか?

はい。交通事故治療には、治療期間の区切りが存在します。
この区切りとは、これ以上治療しても症状の改善が見込めず、良くも悪くもならない状態(=症状固定)になったときです。

症状固定は「損害額算定の基準点」とみなされることが多く、通常保険会社ではその時点で治療費の支払いを終了します。
※必ずしも症状固定=加害者側保険による治療費支払いの打ち切りではありません。

なお、当院では症状固定について、医学的判断は医師が行いますが、そのタイミングについては患者様と一緒に相談しながら決めさせていただいております。

交通事故による後遺症が残ったら、どうすればいいですか?
継続して治療を続けていても回復が見込めず、症状固定となってしまった場合には「後遺障害」の認定手続きを進めます。医師作成の「後遺障害診断書」を提出し、等級認定が認められれば、その後の治療費・休業損害・入通院慰謝料は、損害賠償として請求することが可能です。

まとめ

交通事故に遭ったときには、まずは整形外科を受診しましょう。

できるだけ早く医療機関で治療を開始して継続的に治療することは、症状の早期回復を図り、痛みの慢性化や精神的ストレスによる二次障害を防ぐことに繋がります。

いしがみ整形外科クリニックでは、痛みがあるところ以外もしっかり診察し、充分なカウンセリングの上、安心できる治療を心がけています。お気軽にご相談ください。

著者
院長

いしがみ整形外科クリニック院長 石神 等

日本整形外科学会認定専門医
日本骨粗鬆症学会認定専門医

さたけ整形外科リハビリクリニック院長 佐竹 厚志

日本整形外科学会認定専門医
日本体育協会公認スポーツドクター

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